旅費交通費とは、会社の役員や従業員が会社の業務を遂行する目的において遠方の出張や近距離の移動にかかる旅費と交通費を処理するための勘定科目じゃ。
旅費交通費に該当する旅費とは原則として役員や従業員が業務を遂行するために遠隔地への出張を行った際にかかる一連の費用を含むものであり会社内の旅費規程に基づいて支給される決まりとなっておる。
この一連の費用とは業務を遂行するために必要と判断される経費を意味し、移動の際に発生した交通費の他、主に出張手当(出張日当)や複数日に渡る出張では役員や従業員の宿泊費まで含まれておる。
また、旅費交通費に該当する交通費とは近距離の移動の際に発生した電車賃やバス代、タクシーなどが含まれておる。
これらの旅費と交通費の仕訳は通常、旅費交通費としてひとつの勘定科目で示すのじゃよ。
■旅費交通費の英語読み(会計用語)
Transportation expenses
旅費交通費は前述したとおり会社の役員や従業員が業務を遂行する目的において出張や移動の際にかかる費用全般を処理するための勘定科目です。
例えば、タクシーを利用して日帰り出張をした際の交通費や日当、更に遠方地へ宿泊を伴う出張をした際の飛行機代やホテルの宿泊代、車で移動を行った場合は実費のガソリン代や高速料金なども旅費交通費として仕訳します。
この他、出張前に仮払金として仕訳していたものを仮払い出張精算を行った際に、内容を確認し交際費や旅費交通費に振り分けたりする際にも旅費交通費勘定を用いて処理することになります。
主な旅費交通費の適用一覧
◆航空料金(出張)
◆出張手当・日当(出張)
◆宿泊料(出張)
◆滞在費(出張)
◆食事代(出張)
◆ビザ取得費用(出張)
◆パスポート交付手数料(出張)
◆バス代・高速バス代
◆ガソリン代
◆タクシー代
◆新幹線・特急などの電車賃
◆高速道路料金
◆有料道路料金
◆パーキング代
◆転勤旅費
◆帰郷旅費
◆定期券代
◆仮払い出張費清算
【決算書の表示区分】 | |
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損益計算書の勘定科目 PL(プロフィット&ロスステートメント) | 貸借対照表の勘定科目 BS(バランス・シート) |
旅費交通費の仕訳は決算書(財務諸表)の中の損益計算書に区分される勘定科目の一つです。
【勘定科目の区分】 | |
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資産 | |
負債 | |
純資産(資本) | |
収益 | |
費用 |
旅費交通費の勘定は「費用の部」に区分される勘定科目です。
旅費交通費は業務を遂行する上で必要と判断される経費を旅費規定に基づいて処理する決まりになっておる。
その為、例えば会社の役員の出張の際、出張先で顧客と観光を行った場合などは個人的な支出の性質を高く含むと判断され、観光に関連する費用は全て損金扱いとならず役員報酬として計上しなさいと判断される場合もある。
また、交際費の概念は円滑に業務を遂行する上で必要と判断される得意先への接待に含まれる費用とされているため、接待にかかる全般の費用は原則として全て交際費で仕訳することが必要じゃ。
これには、得意先の社長をタクシーで送迎した場合のタクシー代や手土産の費用なども含まれ、接待場へ自社の社員が向かう際のタクシー代なども旅費交通費ではなく交際費として仕訳しなければいけないのじゃ。
但し、相手方から接待を受ける際に宴会場までタクシーを利用した場合は他社が主催する懇親会に出席するための費用として旅費交通費で仕訳し損金計上することが認められておる。
取引先への電車・タクシー代の仕訳例 | |||
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取引先の定期訪問のために4000円の手土産を購入し目的地まで移動した際の電車とタクシー代、お土産の購入費用を現金で支給した。その際の交通費の内訳は電車賃往復1660円、タクシー代往復1400円、計2060円である。 | |||
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
旅費交通費 | 2,060円 | 現金 | 2,060円 |
交際費 | 4,000円 | 現金 | 4,000円 |
取引先へのお土産代は交際費で処理します。
タクシー代は領収証を貰えますが電車賃は駅で領収証を発行してもらう事が可能であっても実際に領収証をわざわざ発行してもらうケースは稀です。
その為、交通費の申請書などを作成し実際に利用した駅の区間を記入させるようにして記録に残るようにしておくと良いでしょう。
高速道路を利用した際の仕訳例の仕訳例 | |||
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やや遠方の営業先へ社用車で移動した際の高速道路料金とガソリン代、有料パーキング代を現金で支給した。その際の交通費の内訳は高速道路料金往復4600円、ガソリン代4000円、パーキング代600円、計9200円である。 | |||
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
旅費交通費 | 9,200円 | 現金 | 9,200円 |
旅費交通費は高速道路料金もガソリン代も有料駐車場料金も合算して仕訳可能です。
会社の方針で細かい内訳を記録しておきたい場合は「高速道路料金」や「ガソリン代」や「パーキング料金」などの補助科目を設定しておくと良いでしょう。
従業員の出張で出張費用の仮払いをした場合の仕訳例 | |||
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従業員が4泊5日の遠方出張に行くため出張費用を現金で仮払いした。その際の仮払金は14万円である。 | |||
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
仮払金 | 140,000円 | 現金 | 140,000円 |
複数日にわたる出張費用は大きな金額となる為、役員、従業員共に仮払いを行うケースが多くあります。
この場合は出張から帰社して清算するまで一時的に仮払金として処理し、清算後適切な勘定科目へ振り替えます。
出張費用の仮払い清算をした際の仕訳例 | |||
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従業員が出張から戻り仮払金の清算が行われた。仮払金は14万円であったが実際に出張にかかった費用は12万円であり2万円が返却された。尚、12万円のうち3万円は交際費に該当する支出である事が確認された。 | |||
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
旅費交通費 | 90,000円 | 仮払金 | 140,000円 |
交際費 | 30,000円 | - | - |
現金 | 20,000円 | - | - |
旅費交通費の仮払いを行った際は、仮払い清算時に支出内容を確認し旅費交通費や交際費など適切な勘定科目に分類する必要があります。
また、余った金額は現金として返却、不足した場合は貸方に現金と記載し追加で支給して問題ありません。